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カラーサンプル
デザインディレクターの志満津です。
デザイナーが使う道具の中にカラーサンプルというものがあります。用途は印刷会社や試作、量産の製作会社に色指示を出すときのサンプルとして、あるいは調色比率の情報提供の道具として利用します。また、デザインをしているものの色を決める過程で色検討用としても役に立ちます。このカラーサンプルには塗料、印刷用インク、樹脂、表面処理用など多種多様なものがあります。それらも種類によって更に細かく分類されています。例えば塗料のカラーサンプル一つとっても、ウレタン、アクリル、シリコン、フッ素系、更にそれらは水性、油性(溶剤系)と別れていたりとものすごい種類となります。
デザイナーとして楽しいことの一つにこれらの綺麗なカラーサンプルを見ながら仕事が出来ることです。もちろんこのサンプルから色を決めていくことは責任ある重要な仕事ですが。
今回はごく一部ですがそのカラーサンプルをいくつか紹介します。
まずはDIC株式会社(旧大日本インキ化学工業株式会社)のDICカラーガイド。おそらく日本で最もポピュラーなカラーサンプルでしょう。
特に印刷物(主にオフセット印刷)の色検討や色指示には欠かせないサンプルです。ただ、最近はデジタル化も進んでいるのでグラフィックデータからサンプルなしで印刷してしまうこともあります。このカラーガイドは印刷関係だけでなく様々なデザイン分野でも使用されています。
DICカラーガイドは種類も豊富。日本の伝統色、フランスの伝統色、中国の伝統色なんていうシリーズもあります。伝統色といっても決まりがあるわけではないのでメーカー独自のサンプルでしょうか。とはいえ実際の色を見るとなんとなく納得です。
印刷所などに指示を出したいときにはこのようにミシン目に添って切り離して渡せるのが特徴です。何かの回数券や食券のようですね。私が始めてDICカラーガイドを見たときはこの切り離せる機能を見てワクワクしたのを覚えています。好きな色はよく使うので早く少なくなったりします。
こちらは色鮮やかなSPカラーガイド(帝国インキ製造株式会社)。先ほどのDICとの違いは、このカラーサンプルはスクリーン印刷用のインクです。本来はインク用ですが、塗料の色指示にもよく使っていました。このガイドの方がDICより発色がよいので個人的にはこちらの方が好みです。
上の画像の赤丸で囲んだ部分はこの青を作るためにはどの色をどのような比率で混ぜるかという配合比率です。
メタリックもあります。
透過性の高いインクもあり、下地がこのような金属調だとまた違った金属感が出せます。
夜になると電気で発光する屋外看板(中に蛍光管が仕込まれている)などはスクリーン印刷が多く使われていますが、こちらがその光を通してもきれいに見えるインク用のカラーサンプルです。
同じ赤いシートでも違いがあるのが分かりますか。上半分が透けない赤(下地あり)、下半分が透ける赤(クリヤー)、のサンプルです。
こちらはアルミの表面処理(アルマイト染色)のカラーサンプルです。
アルマイト処理により耐摩耗性、耐食性が向上します。
一枚の板に三種類の違った表現がされています。上がアルミ素地にアルマイト処理、真ん中が梨地、下がヘアライン。
こちらはアクリル板材のカラーチップと呼ばれるサンプルです。これも見ているだけで楽しくなります。
写真では分かりにくいですがエッジが光って見える蛍光色のアクリル板サンプル。
同じオレンジ色でも透明、不透明と2種類です。
おまけ:これは色のサンプルではないですが、表面テクスチャー(パターン)のあるクリヤーアクリルのサンプルです。
色に関しては非常に奥が深く自動車メーカーでは色専門に研究をしたり、製品の色を決定している部署もあるくらいです。このように色とは何をデザインしていても重要な要素です。ここで紹介したのはカラーサンプルのほんの一部ですが、普段デザイナーはこのようなものを使って検討し、最終的な色を決定してるということがお分かりいただけたでしょうか。